平成31年(2019年)1月13日施行!「自筆遺言」が変わります!

平成30年7月成立の改正民法(相続法)において遺言制度が見直され、

自筆証書遺言の作成要件の緩和や、法務局での保管制度の創設が行われました。

作成要件の緩和については、他の改正点に先立ち、

平成31年(2019年)1月13日から施行されます。


遺言制度についての主な改正点

【1.自筆証書遺言の作成要件の緩和】

自筆証書遺言に添付する財産目録は、パソコンでの作成が可能になりました。

ただし、全頁に署名・押印が必要です。

【2.法務局での遺言書の保管制度の創設】

自筆証書遺言を法務局で保管する制度が創設されました。(施行日に注意!)

遺言のうち自筆証書遺言は、自分一人でいつでも作成できるため、広く一般に利用されていますが、従来の民法では、自筆証書遺言を作成するには、添付する財産目録を含め、全文を自書しなければならず、財産が多数ある場合の負担は相当なものでした。

今回の改正点____________________________________

(1)遺言書に添付する財産目録はパソコン作成が可能になります
改正後は、自筆証書遺言に添付する相続財産の目録については、パソコンで作成した目録や通帳のコピー、登記事項証明書など、自書によらない書面を添付することによって自筆証書遺言を作成することができるようになり、作成時の負担軽減が図られます。ただし、目録などのすべての頁に署名・押印が必要です。(下表参照)

◆◇◆作成日に注意!◆◇◆◆◇◆◆◇◆◆◇◆◆◇◆◆◇◆◆◇◆◆◇◆◆◇◆

パソコンによる財産目録の作成は平成31年1月13日の施行日以降に行いましょう。

施行日前のパソコンでの目録作成は、改正前の民法が適用され、無効となります。

◆◇◆◆◇◆◆◇◆◆◇◆◆◇◆◆◇◆◆◇◆◆◇◆◆◇◆◆◇◆◆◇◆◆◇◆◆

遺言書とは?~書くべきこと、種類、メリット、作成後の問題点

【1】遺言に書くべきこと

法的要件や財産分割についてだけを書くのではなく
残された方に“想い”を伝えることが必要です。

なぜその資産を、その人に残すのか。
産まれてから亡くなるまでの自分史や、
世代を超えて伝えたい想い、
残された方に望むことを是非書いて下さい。

また、遺言執行人は必ず定めておきましょう。


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【2】遺言の種類

実際に作成される遺言は「公正証書遺言」または「自筆証書遺言」(平成31年・2019年・1月13日から変更点あり)です。
では、「公正証書遺言」と「自筆証書遺言」、どちらが良いのでしょう?

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遺言の種類< 公正証書遺言 >< 自筆証書遺言 >2019/01/13変更点あり~下記(2)参照< 秘密証書遺言 >
特 徴公証人による口述筆記全文自筆 または パソコン利用可代理やワープロで可
費 用相続財産額による0円11,000円
保管者(場所)公証役場1通・自己保管1通自己で自由に保管 または 法務局での保管可能原本1通を自己で自由に保管
遺言内容の秘匿性公証人と証人知られない遺言の内容は知られない


遺言有無の秘匿性


公証役場で作成・公証人と証人


秘密にできる

公証役場で手続きを行い、

遺言書の存在を証明してもらう

公証人と証人

証 人2人必要不要2人必要


検 認


不要

必要

相続人などが家庭裁判所へ

申し立てて検認を受ける

必要

相続人等が家庭裁判所へ

申し立てて検認を受ける

今回の改正点~上記の表<自筆証書遺言>2つめの変更点

(2)法務局で遺言書が保管可能になります

ただし、施行日にご注意ください!

言書保管法は、公布日(平成30年7月13日)から2年以内に施行予定です。

それまでは法務局への保管申請はできません。

※施行日は政令で公布され、法務局への保管申請は施行日以降となります。


従来の民法では、遺言の保管方法について、特に定めがなく、自筆証書遺言は自宅で保管されることがほとんどでした。そのため、次のような問題がありました。

●遺言書の紛失や作成したことを忘れてしまう ●相続人によって遺言書が廃棄、隠匿、改ざんされてしまう ●左記の問題から相続争いに発展してしまう

このような問題に対処し、自筆証書遺言を利用しやすくするため、新たに遺言書保管法が創設され、封をしていない自筆証書遺言を法務局で保管する制度が整備されました。
遺言書本人が、遺言書を法務局に持参し、本人確認を受けた後、法務局において、遺言書とともに、画像データとして保管されます。
保管後に、遺言者本人は、いつでも、この遺言の内容を確認したり、新たな遺言を預け直したりすることができます。

遺言者の死亡後には、相続人や受遺者は、遺言書の閲覧、データ保管された遺言書の画像情報等を証明する書面の交付を請求することができます。
また、遺言書の閲覧がなされた場合、又は遺言書の画像情報等を証明する書面が交付された場合、遺言書が保管されている旨が他の相続人に通知されます。

【3】「公正証書遺言」が絶対に良い!
そのメリット
①自筆しないで良い
②公証役場にて遺言が保管される
③執行段階で検認手続きが要らない
④相続手続きが円滑に進む

があげられます。


①自筆しないで良い

公証役場で概要等を口頭で伝えれば、公証人役場にて文案を作成してくれる。
→文章を自筆せずに作成することができる。
署名ができなくてもよい。

(公正証書遺言)
第九百六十九条
公正証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。
四 遺言者及び証人が、筆記の正確なことを承認した後、各自がこれを署名し、印を押すこと。ただし、遺言者が署名することができない場合は、
公証人がその事由を付記して、署名に代えることができる。

②公証役場にて遺言が保管される

公正証書の原本は、その他の附属書類とともに
綴り、原則として、当該年度の翌年から
20年保管される。
遺言公正証書においては、
公正証書の原本は
公証役場に20年間ないし
本人が100歳に達する
までいずれか長い方の期間
保管されることになっている。
ただし実務上は、
特に保管期間を定めずに
半永久的に保管することが一般的な取扱い

なっている。

※昭和64年1月1日以後に作成された遺言公正証書は
【遺言検索システム】に情報が記載されており、遺言者の死亡後、
相続人から遺言者の氏名・生年月日等を告知の上、
全国の公証役場にて検索することができる。
→紛失等を避けることができる。


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③執行段階で検認手続きが要らない

検認とは、遺言書の発見者や保管者が家庭裁判所に遺言書を提出して相続人などの立会いのもとで、遺言書を開封し、遺言書の内容を確認することです。
相続人に対して、確かに遺言書の存在を明確にして偽造されることを防ぐ手続きです。
 

●手続きは、誰でもできるが期間がかかるので
相続手続きが遅滞する→申立から検認終了まで2~3ヵ月かかる●検認を受けた遺言書でないと銀行の口座解約手続き、
不動産名義変更手続き等は出来ない

しかし、公正証書遺言であれば 検認手続きは不要 です!
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④相続手続きが円滑に進む

自筆遺言での相続手
続きの場合、
◆法務局での不動産名義変更は問題なくできる。→検認を受けていれば、多少文言に不明瞭なことがあっても手続きができることも多い。

◆銀行の口座解約手続きは問題が生じやすい。
1)銀行の解約手続の申請書面に相続人全員の実印押印
2)相続人全員の6ヶ月以内に発行の印鑑証明書の添付を要求されることがあり、実際は検認があってもトラブル防止の為、銀行から要求される。

これでは遺言を作成した意味が全くない…
実は公正証書遺言でも銀行に対して訴訟中の事例あり(現在係争中)。

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【4】遺言書作成後の問題点

遺言書は実にさまざまであり、状況次第では遺言書を作成してもなお、次のような事柄が問題点となる場合もあります。

①相続人間の不仲の場合、有利に書き換えてしまう等
②認知症になると遺言書は作れないのか?
③遺言と債務の承継について
④遺言と不動産取得税、登録免許税
⑤遺留分の問題

このような場合も問題解決に向けて全力でサポートさせていただきます。皆さまの大切な「相続」の道標を経験豊富なスタッフが心を込めて、精一杯ご案内させていただきます。     

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